<猿ぐつわ>
一般に猿ぐつわと言うと、声を立てさせないための物を思い浮べる。
しかし、異端審問の拷問や刑罰に用いられる猿ぐつわは、受刑者に苦痛を与えたり、飢えさせたりすることが目的となる。
猿靴はには、犠牲者の口を鉄球で塞ぐ、または、首輪をつけ、それについている鋭利な刺で下から顎を突刺し、舌や口蓋まで貫通させる、など色々なタイプが考案された。
中でも代表的な2つのタイプを、ここでは紹介する。
「苦悩の梨」
鉄製で、洋ナシの形をしているこれは、16世紀のヨーロッパでうまれた。
この洋梨が、ネジやばねによって先端から縦方向に4つに割れて広がるようになっている。
そこで容疑者の口に押しこみ、ネジをまわすと、口は大きく開いたまま固定され、叫ぶことも食べることもいっさいできなくなってしまう。
また、ネジを廻していくと梨の先端からキリが伸びていくタイプの物もある。
これは、犠牲者の口を広げた上で、喉の奥を切り裂いていくことになる。
「飢餓のマスク」
容疑者の顔を覆い、首の後で固定するしくみになっている。
マスクの内側に付いた「舌」が口の中に押しこまれ、気道は確保されたが、ものを食べる自由はもちろん、舌をかみ切る自由も奪われた。
もちろん、口の中に器具を入れ(きり、ナイフなど)拷問を行うこともある。
|