受刑者はこの状態で(足に重りを付けられる場合あり)揺さぶられたり、吊りあげては円錐の上に落される、というようなことを何度も繰り返されることになる。
刑吏は、殺すことが目的ではないので、吊るす高さを慎重に調整しなければならない。
(受刑者が死に至るようなことがあれば、刑吏が処罰されることになる)
正式な「ユダの揺籃」使用時の吊るし方は、今回の絵のような吊るし方ではなく、
1、犠牲者の両手を後手に縛る。
2、犠牲者の腰に巻かれた金属製のベルトに掛けられたロープにより、天井から吊るす。
3、さらに別のロープをベルトに掛け(2本から4本)、ロープが体に対して垂直に、地面に対して水平になるように固定する。
4、両足は肩幅に開いて、1本の棒で固定される。
5、両足はロープで前方に引張り、犠牲者の体が「L」の形にになるように固定される。
という、犠牲者の姿勢を完全にコントロールできる状態で吊るされた。
「ユダの揺籃」という名前は、ドイツ、イタリアで使われていたが、フランスでは「不眠」と呼ばれていた。
この器具の上に吊るされた受刑者は、常に筋肉を緊張させてないと命にかかわる(傷が深まる)ので、刑吏が監視していなくても眠ることができなくなる、そこから「不眠」という名前で呼ばれていたようだ。
なお、この器具を発明したのは、「イッポリート・マルシーリ」という人物だといわれている。
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