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刺殺刑

鉄の乙女

スペイン、トレドの異端審問所の拷問室で発見されたという、「鉄の乙女」は木製の絹の衣装を身にまとった聖母マリアをかたどった立像である。
「悲しみの聖母」と名づけられたこのマリア像は、腕と体の前面に鋭い釘や刃物が仕込まれており、腕の関節は機械仕掛けで動かすことができた。
容疑者がこの前に立つと、マリア像は両腕を開き、抱きしめられ、釘や刃物によって体中が血まみれとなった。
スペイン、トレドの異端審問所の拷問室で発見された
そして、マリア像の両目から飛び出す刃物が容疑者の両目を刺し、マリア像の心臓から飛び出す鋼鉄の棘が罪人の心臓を貫く。
それでも絶命しない罪人に対しては、マリア像はさらにきつく罪人を抱擁し、窒息させるという。

この機械仕掛けで動くと思われるマリア像については、風説と見る考えが多く、また、実物が目撃されたことはない。
機械工作物としての技術的にも、異端審問の制度からしても、その存在は疑問である。

もし、マリア像が存在したとすれば、ドイツの法史学者「カール・フォン・アミラ」(1848〜1930)が唱える「威嚇用具説」が妥当ではないかと思われる。
棘や刃物が飛び出す、マリア像を罪人の見せることで、「自白」を促すというものである。
刺殺刑6
○「刺殺刑」の範囲について

たとえば、槍によってとどめを刺す「磔刑」も刺殺刑にはいるのではないかと思われますが、「槍」(武器)によって積極的(強い補助)に犠牲者を刺し貫く、ものは「刺殺刑」には含めませんでした。
但し、「弓のよる射殺刑」は、刑罰として(戦場の武器として有名ですが)独立して扱うほど例がありませんので、この項に含めました。

次へ進むと「圧死刑」へ続く予定です。
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